風が強かった。
海沿いの道に出ると、霧がかかったようになっていた。海水の飛沫やら砂やらが舞っているのだ。もうその時点で今日用意して来た気力を失った。
行きは追い風だからまだよかったが、帰りはひどかった。顔にバチッっと砂があたる。波しぶきが飛んでくる。口の周りをなめるとしょっぱい。肌がベトベト。頭を掻くと爪に砂が詰まる。一般的な女性ならこうつぶやくだろう。
「もう、浸透圧のせいで肌がカサカサになっちゃうわ。」
帰宅して即シャワー。なんて気持ちのよいことか。普通のギャルならこう叫ぶだろう。
「やばい、淡水とかいってチョー気持ちいいんだけど。」