無視はできない

 帰りの途中、鎌倉駅に入るともう電車が来ていた。

 乗り込んでみると、様子がおかしい女の子二人組がいた。罰ゲームで電流がビリってなる椅子に座れと命令されているような感じだ。

 どうやら背もたれの上に虫がいて、それがいやならしい。僕でも触れそうなかなり小さな虫だ。

 そこに一人の男が近寄っていった。

 男「虫?」

 女たち「うん・・・」

 すると男はサッと虫をつかみ、そのままホームへ降りた。そしてポイっと虫を放り投げ何食わぬ顔で前のほうの車両へ乗り込んだ。

 小さいとはいえ手のひらを這い回る感触は、やはり気持ち悪かった。