あの角ハンドル切れば今夜も…おやすみ

 授業のとき、隣にモノグラムのバッグを持った男が座りました。そのモノグラムの男は授業中にも関わらず、教室中に響き渡る音で鼻をかみだしました。そのぶっ壊れた空調のような音は、定期的に訪れ静かに授業を受けている学生たちの集中力をそぎ落としました。しかもかなり納得がいかないだろう乾いた音です。そんなことに構わず授業は進みます。ひとときの静寂が訪れたとき、今度はどこかで携帯が鳴り出しました。しかしすごく小さな音で、先生が喋っているときは聞こえないほどです。でもその音は鳴り止む事を知りません。僕は気になって音のする方向を見ました。するとそこにはモノグラムの男が携帯を握り締めています。しかも携帯がチカチカと発光しています。こいつはなんなんだ。授業の妨害をしに来たのか?などと困惑していると、今度はモノグラムの男は歌を歌いだしました。嗚呼、矢ッ張りこの男の机上に積まれた塵紙には、溶け出した脳髄が包まれていると云ふのか。