ほらほら 涙でフロントガラスが曇ってる

年のころは三十一、二、そんなに綺麗でもないお姉さんに海蛇を捕まえに行こうと言われました。さっそく二人で海に行き、潜りました。するとお姉さんはすぐに海蛇を捕まえてきました。僕はやったことがないので説明を受けました。海蛇は頭と尻尾の部分を掴まれているのですが、擬態のようなものらしく、パッと見は尻尾の方が頭に見えます。頭を掴もうとするとみるみる海蛇の色が変わり、頭も頭らしくなりました。がっちり頭を掴むと、お姉さんが問題を出してきました。海蛇はえら呼吸ができないのにどうやって呼吸をしているんでしょう?そんなの海面から顔出してやってるに決まってるじゃんかと思いましたが、そんな態度は見せずに普通に答えました。正解。じゃあ早く呼吸させてあげて。言われて僕は海蛇の頭を海面から出しました。またお姉さんが言いました。呼吸をするとゲップを出すからちょっと手を緩めてあげて。僕は噛まれるのが怖かったので海蛇の顔を包み込むようにガッチリ掴んでいたのでした。言われてみれば、海蛇の喉が膨らんできたような感触がします。言われたとおりにすると海蛇はゲップを二、三回しました。するとお姉さんはティッシュを一枚取り出しました。海中なのにティッシュです。ゲップをするとヨダレを出すから拭いてあげて。僕は拭きました。でもよく見るとヨダレはちょっと黄色がかっていて、めっちゃ出ています。気持ち悪かったので掴んでいた手を緩めました。緩めすぎたらしく、海蛇が暴れだして、僕の左腕が襲われました。少しもみあってからなんとか海蛇を捕まえました。左腕は歯がぶつかってミミズ腫れだらけになっています。痛いのでもしかしたら噛まれているかもしれません。お姉さんは僕が噛まれていないか調べてくれました。だけど何故か僕の背中ばっかり調べて、腕は全く見てくれません。左腕の痛みを訴えても無視です。僕は不安になって相変わらず背中ばっかり調べているお姉さんに、海蛇は毒は無いのかと尋ねました。お姉さんは無言でヨレヨレの紙を取り出して僕に渡しました。まだ背中を調べています。紙には手書きで海蛇に噛まれると五、六分で死に到ると書かれています。あれ?解毒剤とかあるのか?これ大丈夫なのか?お姉さんはずっと背中を調べ続けています。という夢を見ました。